top of page
『闇隠れ』
一人用台本(性別はどちらでも)
時代劇、辻斬りを追う人
暗がりに転がるは、白い骸。
顔を除けば見知った顔。
「なんだ、君か。」
一筋、真っ赤に避けた胸元。
さぞや腕の立つ者の仕業と見た。
「誰にやられた?」
半開きの眼から塩水が流れている。
月明かりを反射し きらきら きらきら
「無念だっただろうねぇ。」
そっとその、瞼を伏せてやった。
手に、冷たい君の涙がついた。
乱れた着物も直してやった。
手に、真っ赤な血がついた。
「さて」
風に乗り、足音が聞こえた。
風に乗り、荒い息遣いも聞こえた。
「お前だな、お前が…」
辻斬り
bottom of page