『 ヒートアイランド 』
-
一人用台本(男女問わず)
-
連日の猛暑がしんどくて出来上がったお話。
-
上記画像はサムネイルとして使用可能です。
暑い…。なんなんだよ!?この暑さ!
三十七度…嘘だろ?
電光掲示板が教えてくれる現在の気温は、体温を超えていた。
数年ぶりに帰ってきた地球。そのあまりの変貌ぶりにただただ驚く。
みんなマスクをしている。…花粉症の時期は終わったはずだぞ?
へぇ、今はそういう格好が流行りなのか?
この暑い中、目につく人々は長袖長ズボンの繋ぎを着ている。
半袖半ズボン姿の私の方が逆に目立っているようで、皆の視線がこちらに集まってくる。
気恥ずかしくなり、すぐ近くの商業施設の中に入った。ここなら、涼む事もできるだろう…と思ったが。
なんだよ!冷房効いてねぇの!?
外の温度が少し和らいだ程度。こういう所は寒い位に冷えてるもんだろ?どうなってんだよ…。
施設内にいる人々もやはり、繋ぎを着ていた。
立っているだけでも汗が吹き出してくる。このままでは身体中の水分を持っていかれそうな気がして、自動販売機を探す。あった!
は?
「あたたかーい」コーヒー、お汁粉、コンポタ。これらが商品の半分を占めていた。このクソ暑い中、誰が買うんだよ!?…と突っ込もうとしたところで女性の二人組が現れ、それぞれお汁粉とコンポタを買っていった。買う人、いた…!
…いや、暑い日にも飲みたくなる位美味いのかもしれない。私は当然つめたーいお茶を買う…が、なんっじゃこりゃ!?人肌よりちょっと冷たいかなぁ位の温度…!壊れてるのか!?この自販機!!
はぁ
近くのベンチへ座る。すぐそばの電光掲示板が天気、ニュースを伝えている。は?最高気温…四十一度!?今よりもっと上がるのか!?熱中症による死者数は連日二桁を更新。防護服の着用を義務化すべきか政府で検討中…防護服?
施設の中を少し歩くと衣料品店が並んでいた。それらの店全てに、あの、繋ぎがある。
私は一着、買う事にした。店員は私の姿を見て驚いていた。マスクもあわせて勧められた。
早速、繋ぎを着てみた。不思議なことに、半袖半ズボンでいるよりずっと快適だ。マスクも、寧ろ息苦しさを軽減してくれる。一体どういうことだ?
上昇し続ける気温と、突然流行りだす新しい疫病に対応するため、生活は進化を余儀なくされた。この繋ぎも、マスクもこの星で生活するための必需品になっていたのだ。