top of page
浴室のタイル

『 排泄的会話 』

  • 二人用台本

  • びっくりするほどただの日常会話​

A:いつだったかな。ほら、あれ。

B:あれってなんだよ。

A:あれだよ…ほら、あの…ほら!あれだよ!

B:埒が明かないな。それはもの?

A:ものだよ、ほら…掃除機の紙パック!

B:良かった、思い出せた。

A:はぁ、スッキリした。じゃなくて、紙パックだよ!買ったでしょ?先週電気屋で。

B:買ったっけ? 

A:お願いしたじゃん!

B:お願いされたっけ?

A:した!ほら、証拠残ってるもん、スマホに。

B:あぁ…やべ。

A:もしかして買ってないの?

B:ごめん、それ自体見てなかった。

A:えぇー 

B:ごめんて。その日は仕事、超絶忙しかったんだよ。

  スマホの画面もイチイチ気にしてる余裕無かった。 

A:それは…お疲れ様だよ。で、でもそれってさ。もし緊急の時とか困るよね?

B:緊急の時は電話で寄越すだろ?そっちの着信は気付くようにしてある。

A:電話出来なくてって事もあるかもしれないじゃん。

B:例えば?

A:口がきけないとき。強盗に襲われた時とか…。

B:なるほど

A:あとは歌い過ぎて喉が枯れた時

B:お前、絶叫系のアニソンしか歌わないもんな。

  いつかホントに喉が潰れるんじゃないかって心配になるから、バラードも覚えてよ。

A:あぁいう浸る系、しっとり系?苦手なんだよね。

  やっぱりカラオケってさ、思いっきり声出したいじゃない?溜まったものを吐き出せー!ってさ。

B:溜まったものねぇ。

A:現代社会に生きてれば色々と見えないものが溜まっていくでしょ?

  そういうものは定期的に排泄していかないと。身体に悪いのよ。

B:鬱憤って言うくらいだもんな。

A:うん…その通りだけど、音は汚いよね。

B:排泄って先に言ったのはそっちだろ?

A:アチャー。…で、アレよ。

B:掃除機のパックね。

A:掃除機がね、悲鳴をあげてるの。赤いランプを点滅させて、お腹パンパンなの~って。

  早く出してぇ~って言ってる。

B:パックの換えが無くなったから買ってこい、と。

A:その通り!よろしく!!

​・・・おしまい・・・

bottom of page