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『乾きの季節』

乾燥した木々には、

いとも容易く火がつく。 

 

乾燥した風が、

いとも容易く火を運ぶ。 

 

乾いた音が空気の中に溶けて消える。 

 

乾燥した空気に、

乾いた肌は粉をふく。 

吹き出した血で、

ひび割れた肌に気付く。

 

乾いた私に瑞々しさは眩しい。 

 

乾いた私の心には容易くヒビが入る。 

 

私には足りない、潤いが足りない。 

 

この季節が乾かすから。 

どうか、どうか…潤いを。 

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