『 蕩ける糖度 』
二人用台本(男女掛け合い。性別転換可。)
登場人物
女性:チョコレート専門店でアルバイトをする女子大生。ショコラティエ(男性)に憧れている。
彼を目の前にするとドキドキしてしどろもどろになってしまう。
男性:チョコレート専門店「NorthIsland」の店主でありショコラティエ。30代前半。
だいぶ大人の余裕がある、陽気なお兄さん。
/// 舞台はデパートの催事場。バレンタインデーを目前にチョコレートフェアが行われており、お客さんで賑わっていた。(SE:ざわめき) ///
女性:「こちらはフェア限定商品となります。試食もございますよ。
(お客さんが二箱位買ってくれた)ありがとうございました。
…商品ほとんどなくなっちゃった。補充しなきゃ。…ぁ(男性に気付く)」
男性:「まだお昼前なのに、もうこんなに売れたのか。
うちの売り子さんは商売上手だなぁ」
女性:「お疲れ様です!ち、ちがいますよ。
皆さん●●さんの作るチョコレートが美味しいって知ってるから!
きょ、今日はこちらに来ない予定では?」
男性:「手が空いたから来ちゃった。急に君一人になったって聞いて。」
女性:「午後からもう一人来てくれることになったので、何とかなりそうです。」
男性:「そっか、じゃあそれまで僕が助っ人になろう(陽気に)」
女性:「え!(びっくり嬉しい) …いらっしゃいませ。」
(男性当てにお客が殺到。限定商品なくなる。)
女性:「すみません、本日は完売になってしまいまして。…ありがとうございました。」
男性:「お疲れ様、殆ど無くなっちゃったなぁ。追加で持ってくるか…」
女性:「…喜多嶋さんがいらっしゃるからだと思います。」
男性:「いやいや、君の接客がいいからだよ。(客足が)少し落ち着いたみたいだね。
お昼休憩してきていいよ。」
女性:「大丈夫です、一時になれば交代できますし。」
男性:「そう?甘い香りがこうも充満してると余計にお腹すかない?」
女性:「もう少しですから、大丈夫ですよ。」
(SE:大きめにお腹が鳴る音)
女性:「ぇ!!」
男性:「ぷっはははははっ…!身体は正直だね。」
女性:「笑いすぎですよぉ(半泣き)」
男性:「ごめん、ごめん。…本当は後で渡そうと思ったんだけど。(手荷物から何か出す)」
女性:「きれいな箱…」
男性:「陰でこっそり食べてきて。少しでもお腹に入れれば楽になると思う。」
女性:「え…(箱を開ける)わ、綺麗なバラ。それにいい匂い。いいんですか?」
男性:「頑張ってる売り子さんへのご褒美(ハートを飛ばした)」
女性:「あ、ありがとうございます。」
(パーテンションの裏へ。改めて箱の中身を見る)
女性:「(心の声)新作?なのかな。こんなタイミングで食べるには勿体なさすぎるよ。
折角ならもっとムードを高めて、リラックスした時に食べたい。
これを、今食べろと?」
(SE:お腹が鳴る音)
女性:「(心の声)あぁ~っ、もう!!(思い切って口に入れる。)
…おいしぃ、おいしすぎるよぉ…(感動して涙も出てきた)」
男性:「その顔、もっとムードがある所で見る予定だったんだけどなぁ」
女性:「ふぁ!?」
男性:「でも良かった、美味しかった?今季限定チョコレート。
今季っていうか、君限定かな。まぁ、そういうこと。(照れ笑い)」
(お客に呼ばれる)
男性:「あー、はいすみません。二箱ずつですね。ありがとうございます。
贈り物用ですか?ではリボンを。(「このリボンを」は落ち着いた雰囲気で言って欲しい)
(品物を渡し)ありがとうございました。
(視線に気づく)…なに?そんな目で見つめられると…」
女性:「え!ぁ、すみません!つい。●●さんの手が綺麗で…
って、わたしっ、何言ってるんだろ!?」
男性:「見てたのは手だけ?(いたずらっぽく)…腹の虫、少しはおちついた?」
女性:「は…ひゃい」
男性:「良かった…けどその顔じゃあここには立たせられないな。
泣かせるつもりはなかったんだけど。後でゆっくり、感想と返事、聞かせてね。」
/// おしまい ///