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『境界線の上』
友達と親友の境目とは、友情と恋の境目とは。
悶々とする思春期の少年を演じてみませんか?
「友だち」と「親友」の境目は曖昧だ。
楽しかった事も辛かった事もお互いに共有しているつもりでいたから、俺はあいつの事を「親友」だと思っていた。しかしそれは、一方的なものだったらしい。
昼休み、いつものように横並びで昼食をとろうとしていたら、あいつがいつになく元気がない。何か悩みを抱えているんじゃないかと、俺は声をかけた。
「どうした?何でも聞くぞ、なんたって俺はお前の親友だからな。」
あいつは返事の代わりに俯いた。頷いたんじゃない、俯いたんだ。
なんだよ、水臭いじゃないか。今まで何だって話してくれたのに。
『親友、か』
あいつはため息をつくように呟いた。
「え、ショックなんだけど!俺だけかよ、親友だと思ってたのは。」
(少し冷えた胸を誤魔化すように、俺はわざと明るく言った。)
「…ただの友だちってことか。じゃ。いいよそれでも。なぁ、どうしたんだよ。お前が元気ないと気になるんだよ。俺、何かした?」
あいつは『何も』と言ってそれきり。
けど、その目はもっと何かを俺に訴えているようだった。
何があったんだろう。進路のことや家族の悩み事だって、何でも話してきたのに。
俺には言えないこと?
気になって、眠れない。
ずっとあいつの事ばかり考えてしまう。
いつか、話してくれるかな…。
✼✼✼ おわり ✼✼✼
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